HEAT20とは?メリット・デメリットやZEHとの違いを解説|美濃加茂市のふくもくの家

2024.11.11

みなさんこんにちは、美濃加茂市のふくもくの家です。
今回は、高断熱の家に特化した「HEAT20」の特徴やメリット・デメリットについて解説します。
HEAT20と同じく断熱性能の高いZEH住宅や、断熱等級との違いもわかりやすく記載しますので、高断熱の家を目指す方は参考にしてくださいね。

HEAT20(ヒートにじゅう)とは

HEAT20(ヒートにじゅう)とは、「一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」という団体の略称です。2009年に建築分野で専門性の高い研究者や、住宅・建築生産者団体の有志が集まって発足し、2020年に法人化しました。
HEAT20は地球温暖化やエネルギー問題を長期的な視点で考えた際に、断熱性能の高い住宅はエネルギー消費量を抑えられ、温暖化の原因のひとつであるCO2を削減できると想定。
人にも環境にも優しい家づくりのために適した断熱性能の基準値を定め、省エネ住宅の指標のひとつとして活用されています。

HEAT20が注目されている理由

近年HEAT20が定めた断熱性能基準値が国内で注目されており、認定を目指したりHEAT20レベルの断熱性能を売りにしたりする住宅が増えています。

そこでHEAT20が注目されている主な理由について、2つ解説します。

2050年のカーボンニュートラル実現のため

2015年のパリ協定で、地球規模の課題である気候変動問題の解決のために、世界共通の長期目標「2050年カーボンニュートラル」がかかげられました。
カーボンニュートラルとは、CO2など地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を削減し、二酸化炭素などを吸収してくれる森林を管理することで、炭素の排出量を実質ゼロにする取り組みです。
日本でも2050年のカーボンニュートラルに向けてさまざまな取り組みがされており、特に国内のCO2排出量の3分の1を占める住宅・建築業界は、脱炭素に対する積極的な姿勢が求められています。そのためCO2の削減が期待できる高断熱の家が重要視され、断熱性能の基準を定めているHEAT20が注目されています。

日本の断熱性能基準が低いため

数ある断熱性能の基準の中でもHEAT20の評価が高いのは、最も基準値が厳しいためです。
2024年現在、日本の断熱性能基準は先進国のなかでも最低レベルであり、2025年に断熱性能等級4以上が義務化されますが、それでも先進国のレベルに達しません。
一方HEAT20は先進国の断熱基準に対応しているため、先進国基準の断熱性能を求める際の指標として活用されています。

HEAT20の推奨基準

HEAT20は、主に3つの要素を住宅に取り入れるのを推奨しています。

  • 建築的要素(断熱材・サッシ・外壁等)による断熱性の向上
  • 設備的要素(空調機器・給湯器等)による省エネ性の向上
  • 創エネルギー要素(太陽光発電・蓄電池等)による創エネ性の向上

また断熱性能の具体的な指標として、「UA値」を使用した基準を設定しています。

UA値とは

UA値(ユーエーチ)とは、住宅内の熱がどれだけ外に逃げやすいかを表す数値で、外皮平均熱貫流率とも呼ばれます。数値が小さいほど室内の熱が逃げにくく、高断熱であると判断可能です。
HEAT20だけでなく、断熱等級やZEH住宅などさまざまな制度で住宅の断熱性能を証明する手段として活用されています。

>>UA値について詳しく知りたい方はコチラ

断熱基準8つの地域補正

日本は南北に長いので、北と南では気象や温度が大きく異なるのが特徴です。
そのためHEAT20は日本を8つの地域に分類し、それぞれの地域の実情に適したUA値を設定しています。

引用:HEAT20「外皮性能水準地域補正ツール

たとえばふくもくの家がある岐阜県美濃加茂市は、比較的温暖である「6地域」に該当します。
同じ岐阜県内でも山間部と平野部で地域区分が異なり、地域の気象に合わせた水準が設けられているのが特色です。

HEAT20が設ける3つのグレード

HEAT20は「G1~G3」という3つのグレードを設けており、最も高いグレードはG3です。また地域区分ごとに、推奨基準が設けられています。

ここからは各グレードの基準値や特徴について、詳しく解説します。

G1

引用:HEAT20「住宅シナリオと外皮性能水準

G1はHEAT20の中で最も低いグレードですが、ZEHや低炭素住宅よりも厳しいUA値が設定されています。

G2

引用:HEAT20「住宅シナリオと外皮性能水準

G2の条件を達成できると冬でも暖かい住宅が手に入るだけでなく、暖房器具の使用も30~50%程度削減できるため、光熱費の軽減が実感できるでしょう。

ふくもくの家ではお客様のご要望がある場合、G2相当の断熱性能を実現するプランをご提案可能です。

G3

引用:HEAT「住宅シナリオと外皮性能水準

G3の基準値は非常に厳しいですが、省エネ住宅先進国であるドイツなどの義務基準とほぼ同等です。
2025年から国内で義務化されるUA値が0.87以下であるのと比較すると、他の先進国に対し日本が大きく出遅れているのがわかるでしょう。

HEAT20とZEH・断熱等級の違いは?

住宅の断熱性能を評価する制度にはHEAT20だけでなく、ZEHや断熱等級などもあり、違いが分からない方も多いでしょう。
HEAT20とZEH・断熱等級の最も大きな違いは、事業を実施している団体です。
ZEHと断熱等級は、国土交通省や環境省など行政が進めている事業です。

一方HEAT20は、前述したとおり一般社団法人が運営しています。そのため認定を申請する場所や、利用できる補助金制度などが異なります。

またそれぞれの事業が設定する断熱性能の基準値の違いは、下記のとおりです。

HEAT20の最高グレードG3と断熱等級の最高等級7が、同等レベルかつ国内で最も高い断熱性能です。

HEAT20で利用できる補助金や助成制度はある?

基本的に、HEAT20を取得することで使用できる補助金や助成制度はありません。国ではなく社団法人が展開する事業のため、行政が用意した助成制度などの対象外になります。補助金などを利用したい場合は、HEAT20と並行してZEHや長期優良住宅等の認定を受けるのがおすすめです。

HEAT20を取得する4つのメリット

実際にHEAT20を取得したマイホームに住むことで、得られるメリットを4つ解説します。

一年中快適な室内温度を維持しやすい

断熱性の高い住宅は外気温の影響を受けにくいため、夏の暑い熱や冬の冷たい熱が室内に伝わるのを低減してくれます。また室内の空気も外に逃げにくくなるため、エアコンなどで調整した快適な温度を長く維持しやすい点も大きなメリットです。

光熱費を節約できる

前述したとおり、断熱性の高い家は室内の温度を快適に保ちやすいため、エアコンなどの冷暖房の効きが良くなります。少しのエネルギーを効率的に使用するので、必然的に光熱費の節約にもつながるでしょう。

たとえばG3の5地域に該当する住宅なら、冬場の暖房負荷削減率が約75%になるため、暖房にかかる光熱費も同じくらい削減できる可能性があります。

ヒートショックなど健康リスクを低減できる

リビングや寝室など主要部分だけでなく、家全体の断熱性向上を求めるHEAT20は、冬場に発生しやすいヒートショックのリスクを低減します。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって心筋梗塞や脳卒中などの症状が引き起こされることで、暖房によって暖められたリビングから寒い浴室やトイレなどに移動した際に発生しやすい現象です。
家全体の断熱性の高い家はエリアごとの温度差が生じにくいため、ヒートショック対策に効果的でしょう。

住宅の寿命を縮めにくくなる

断熱性の高い家は結露しにくく、木造住宅の構造の耐久性を維持しやすいのもポイントです。基本的に木材には調湿効果がありますが、ため込んだ水分を吐き出せないと傷んでしまい、木の耐久性が落ちてしまいます。結露は室内にカビやダニを発生させるだけでなく、木でできた構造に過度な水分を与えることでダメージを与える恐れがあるため、住宅の寿命を維持するには結露対策が重要です。

HEAT20を取得する2つのデメリット

HEAT20はメリットが多い一方、デメリットも存在します。主なデメリットを2つ解説しますので、HEAT20の取得を検討する際の参考にしてくださいね。

初期コストが高い

HEAT20が設定する厳しい断熱基準をクリアするには、性能の高い部材が必要です。しかし性能の高い部材は価格も高いため、一般的な住宅よりも初期コストがかかるでしょう。同じように省エネ性能の高いZEHや長期優良住宅も初期コストがかかりますが、行政の事業なので補助金制度が充実しています。
HEAT20は社団法人が展開している事業のため、初期コストをサポートする補助金制度が利用できないのがデメリットです。

住宅の性能を保証する制度ではない

HEAT20は他の省エネ住宅制度と異なり、住宅ではなく「住宅システム」を認証します。
例えばお客様がZEH住宅の認定を受けたいと考えた場合、お客様のマイホーム自体が「ZEH住宅」という保証を受けられます。
一方HEAT20は、建築会社や設計士がつくった住宅システムを保証するもので、その住宅システムを使用して建てた住宅の性能を保証するものではありません。省エネ性能の認証を受けたい場合は、HEAT20と並行してZEHや長期優良住宅等に対応したプランにするのがおすすめです。
またHEAT20の認証を受けた住宅システムを所有している建築会社でしか建てられないため、依頼できる会社が限られています。HEAT20に対応した住宅を建てたい場合は、HEAT20の認証を受けた住宅システムを持つ建築会社選びから始めることになるでしょう。

省エネで一年中快適な家づくりには気密性の高さも重要

最低限のエネルギーで快適な室内温度を保つのに、断熱性能の高さを表す「UA値」を意識するのは大切です。さらにふくもくの家では、気密性能を表す「C値(シーチ)」も重要視しています。

C値とは建物の床面積あたり、どれだけ隙間が空いているかを示す指標で、数値が小さければ小さいほど気密性が高いと判断可能です。隙間があると室内の快適な空気が外に逃げたり、外からすきま風が入りやすくなったりするため、冷暖房効率が悪くなってしまいます。

隙間のない家づくりには部材だけでなく、職人の高いスキルが必須です。弊社では熟練の職人が責任を持って施工し、C値が「0.2以下」になるまで先の工事に進まないという厳しい条件を設定。
断熱性はもちろん、気密性にも優れた高品質な家をご提供します。

>>C値(気密性)について詳しく知りたい方はコチラ

ふくもくの家ならG2レベルの住宅を実現可能!

美濃加茂市のふくもくの家の断熱性能(UA値)は、ZEH水準以上の「0.49 以下」を標準仕様。
お客様にご要望をいただければ、「G2」レベルの「0.46以下」も実現可能です。省エネ先進国のレベルに近い高断熱の家を手に入れたい方は、ぜひ弊社にご相談ください。

まとめ

HEAT20は住宅の断熱性能に特化した取り組みで、HEAT20の認証を受けた住宅システムを利用すると、外気温の影響を受けにくい高断熱なマイホームを手に入れられます。少しのエネルギーで室内を快適に保てるため、人にも家計にも環境にも優しく、メリットの大きい事業と言えます。
ただし民間事業のため行政の補助金制度を利用できず、初期コストが高くなりがちです。ZEHや長期優良住宅など他の省エネ住宅制度と比較し、お客様のご予算内で理想をかなえる制度を選択するのが大切です。

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